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OBSTETRICS AND GYNECOLOGY

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  • 医師 庄司 孝
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12:00
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14:00-
17:00
× × ×

※窓口の受付終了は、診察終了時間の30分前です。

※乳がん検診は要予約です。

〒741-0062 山口県岩国市岩国3丁目2-7
駐車場:33台分完備

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夜間対応について

夜間にご来院される方は、通用口(駐車場側)のインターフォンを押してください。夜間スタッフがドアを開錠いたしますので、中に入って、2階ナースセンターまでお越し下さい。
夜間対応の場合は、事前に0827-41-0850まで必ずご連絡くださいますよう、お願い致します。※乳がん検診は要予約です。

妊婦健診

定期健診により妊娠経過が順調かどうかを確認します。

妊娠 24週までは4週間に1回
〃  27週~35週は2週間に1回
〃  36週~予定日は1週間に1回
上記のようにご来院下さい。
定期健診以外でも、出血や腹痛などの異常がありましたらご来院ください。

最新の4D超音波であかちゃんの様子を見ることができます。

ご希望によりDVDの録画も行っております。

外来スタッフが個別で指導・ご相談に応じます。

妊娠中のすごし方から分娩に対する不安、費用のご相談まで困ったこと、わからないこと等、なんでもご相談ください。

※当院は分娩の取り扱いを終了したため、妊婦健診を受けられる方は、早期に他院にご紹介させていただきます。どうぞご了承ください。

岩国病院独自の取り組み

IWAKUNI HOSPITAL’S INITIATIVES

《当院は分娩入院を終了いたしましたが、産科医療に長年携わってきた庄司孝院長の分娩についての取り組みや信念を記録したく、論考、および新聞記事等を以下に掲載いたします。2024年9月》

チャレンジング・デリバリー

安産への道
〜家族みんなでお産をつくろう〜

医療法人 岩国病院
医院長 庄司孝

 あなたらしいお産、安全なお産ってどんなもの?
岩国病院は、岩国の人々に愛され、長年にわたって信頼を築いてきました。
地元ならではの安心できるお産というだけでなく、里帰り出産も広く受け入れています。
それは、家族みんなで新しい生命誕生のよろこびを分かち合ってほしいから。
そのための取り組みが、「チャレンジング・デリバリー」です。

「チャレンジング・デリバリー」のすすめ

 わたくしは近ごろ学校や社会への適応が難しい子が多くなったことは困ったことだと思います。毎日いじめとか登校拒否、落ちこぼれなどなど、またそこから派生したいろんな事件の報道を見ない日はないくらいです。
誕生は、その赤ちゃんにとって、家族に迎えられ、社会へのデビューの一歩を歩み始めるスタート地点に立つ瞬間です。人間は社会的な存在であり、そのスタートをどのように迎えるかはその後の子供さんの一生を左右する決定的なゴールデンタイムであります。
お母さんのお腹の中での一人きりの生活に別れを告げて家族みんなにうまく受け入れられるかどうかはその後の赤ちゃんの人生にとても大きな影響を与えます。だから出生は、この上ない大切な瞬間であり、その場に立ち会えることはわたくしにとって他に比較することがない喜びであります。と同時に大きな責任を負わされていることを思わずにはおられません。
わたくしは、出産は、言われるままに受け身で行われるのではなく、夫婦、家族みんなで、自分たちの主体性のもとに選んだスタイルと自らの力でニューフェイスを迎えることが大切で、ベビーの将来にもっとも役立つと考えるものです。
家族みんなで妊婦検診を受け、家族みんなでそのお産を支え、妊婦さん自身力を充分発揮する積極的分娩スタイル、「チャレンジング・デリバリー」こそ子供さんとご家族にとって未来の健全な家庭を作る決定的瞬間であります。
「チャレンジング・デリバリー」は妊婦さんとご家族みんなの努力があれば誰にでもできます。
みずからの主体性で家族みんなが望むお産を成し遂げるには、常日ごろのそなえが必要です。
なにより大切なのは妊婦さんの健康です。わたくしたちは日ごろの検診でいつも妊婦さんの健康にもっとも注意をはらいます。正しい栄養摂取と体力強化は誰にでもできるたやすいことであります。妊婦検診にはできるだけご主人や上のお子さんも参加されることをおすすめします。
分娩は、家族みんなで新しい命を産み出すのだ、自分たちの仲間を歓迎するのだとはっきり意思表示する「立会い分娩」をおすすめします。自分たちで自主的なお産のスタイルを決めていただくように妊娠期が進んだとき「マイ・バースプラン」をうかがいます。わたくしたちはみなさんの「マイ・バースプラン」に描かれた要望に応えるような出産にそなえます。出産には突発的な出来事も多々ありますのですべてがその通りにおこなわれる訳ではありませんが、お気持ちを尊重して実行いたしますし、それが不可能となった場合は、かならず説明と納得の上で、元気な赤ちゃんの出生に努めたいと思います。

※「デリバリー」とは英語で分娩、出産のことです。

お産の現状

 現在一人の女性が子供を産むのは平均でひとりとふたりの間です。生まれてくる子どもさんにとっては、たったひとつの機会でもあります。その数少ない機会をどのように迎えるかはご家族みんなにとっても大切な関心事です。なにより求められるのはその安全性であります。
この半世紀前の産科医療は、素朴な原始的産科医療とも言うべきものでした。ただ赤ちゃんの生命力だけを頼りの、いわば特攻隊的ともいえるものです。モニターや点滴などで縛り付けられることも無く、トラウベというかんたんな竹筒のような聴診器だけで頼りない赤ちゃんの命のささやきを聞き取りながらひたすら自然の力で赤ちゃんが自分で出てくるのを待つのが分娩介助でした。それでも大部分の赤ちゃんは大きい元気な産声とともにこの世に生を得ることができました。しかし残念ながらかなりの数のベビーが両親の顔を見ることもなく人生の終わりをむかえたのです。
その後のお産のありかたは、母と子の安全第一をもとめて、エコー診察や胎児心音モニターに代表されるような近代化を遂げました。新生児や妊婦さんのトラブルは最小限となり、日本の産婦人科医療の安全性は今では世界でもトップレベルの水準です。
一方、安全性の追求からあまりにも医学的介入が進んだためそれに反対する意見も出てきました。連続的なモニターや血管確保は妊婦さんに心理的、肉体的に過大な負担をかけすぎるとの意見もありあます。
極端な場合、まったく自然の経過にまかせて、事実上一切の医学的介入を拒否する意見さえもあります。もちろんそれでまったくトラブル無しにお産が終わればそれはとても幸せなことです。しかし現実には20%近くのお産が帝王切開分娩となり、それを上回る吸引・鉗子分娩がおこなわれているのが実情です。

お産はむずかしくなった

 そのような産科医療をめぐる情勢の中で、ちかごろ産科医療にかかわる医師や助産師の間で、お産が昔と違ってむずかしくなった、という声をよく聞くようになりました。50年前、帝王切開分娩は、多いところで4%程度だったのですが、今では20%くらいはあたり前、ハイリスク分娩のみ扱う大学病院などでは50%を超える医療機関もあるありさまです。
長い人類の歴史の中で、人類でも動物でも、普通の産道から赤ちゃんが生まれてくるのが正常だったのです。それが50%を超える子供がお腹の傷から出てくるということは、その方が普通ということになりますが、これはどうなのでしょう。
帝王切開の増加は、難産や合併症が増えたことが主な原因です。高齢妊婦の増加や体外受精など補助生殖妊娠の増加などもその誘因です。そのほかでも以前だと経膣分娩が当たり前だった骨盤位分娩、多胎分娩などが最近の医師不足から手間のかかる自然待機よりも手っ取り早い予定帝切へと変わってきました。そうしていちど帝切分娩がおこなわれると、次の分娩も帝切へとなり易いので、ますます帝王切開の率が上がってゆきます。
いったん分娩で結果が悪いと医事紛争となり、産科で訴訟が多発する事情もあります。ドクターたちがより無難な選択を選ぶようになったのも止むを得ない面があるかもしれません。

生活の欧米化

 肥満妊婦が増加したことによる難産は大きな問題です。妊婦さん以外でも肥満はメタボ症候群を引き起こし健康被害をもたらします。妊婦さんの場合には肥満は、妊娠高血圧症候群の原因となり、妊娠糖尿病などお母さんの健康に障害をもたらすのみでなく、胎児にも障害を与えることに注意が必要です。
母親の糖代謝異常は、赤ちゃんの巨大児の原因のひとつです。小柄な日本人の場合アメリカ人とくらべて6~70キロ程度の肥満でもアメリカ人の100キロ超の妊婦さんのケースと同じくらいの難産原因となります。
日本は、いろんな意味で欧米の生活様式を懸命に取り入れてきました。石油化学製品の多用、車社会、高カロリー食品の飽食、などなど。妊婦検診の際、アメリカ婦人がネールペイントやタトゥーをしているな、とか思っているとやがてすぐに日本の婦人でもそれらの風習が一般的になるのが常です。今ではアメリカ婦人の恐るべき肥満にも負けない体格の国産妊婦さんが珍しくない現状です。
肥満の妊婦さんは、妊娠糖尿病や巨大児、妊娠高血圧などを合併することが多く妊婦さんの高齢化とともにお産が難しくなった最大の原因です。妊娠糖尿病の妊婦さんでは、そうでない人にくらべて5倍もの巨大児発生率だと言われています。肥満の妊婦さんでは脂肪が産道を狭め、巨大な赤ちゃんは骨盤を通りにくくなります。
肥満妊婦さんは、お産の過程が難産となるだけでなく、産後の大出血などのリスクが大きく、またその時の対処がむずかしいので困ります。肥満妊婦さんの帝王切開では、手術や麻酔もスリムな患者さんにくらべて対応がむずかしいばあいが多々あります。
このように妊婦さんの肥満が今日の難産増加の大きな原因であります。

肥満を防ぐには

 肥満を防ぐには、食事を制限すれば良いと考える方がほとんどです。たとえば絶食療法が有名です。しかし、妊婦さんの肥満を防ぐ場合、絶食は困ります。肥満防止は、いかに食べないかではなく、いかに食べるかを考えなければなりません。また一時的に食事をがまんしてやせたところで、ちょっと油断するとすぐリバウンドして前より悪い条件でお産にのぞむことになりかねません。今たとえばBMIで25以上の肥満の方は、ただちにチャレンジング・デリバリーをめざして、正しい食生活と日頃の運動を実行しなければなりません。

正しい食生活

 誰でもそうなのですが、妊婦さんでは特に、肥満防止の食生活とはいかに食べないかではなく、いかに食べるかなのです。
まず、カロリーについてです。だれにでも適切な必要カロリーは決まっており、いろいろな計算式がありますが、たとえば身長150cmの方だと、理想体重は50kg、妊婦さんの場合、軽作業ですので1kgあたり30Kcalとして1500Kcalです。妊娠時期も考えなければいけませんが、それに赤ちゃん分のカロリーを上乗せして1800Kcalくらいとなります。基本的には、カロリーはその枠の中では、好きなものを食べてよいのですが、それをマクドナルドの大型ハンバーガー「メガマック」で済ませると、一日二個で終わりです。しかもそれではお腹が空いてかなわないのと、とても妊婦さんやお腹の赤ちゃんに充分な栄養をとることはできません。低カロリーで充分な栄養価がありお腹の満足感も得られる食事をとるには、いくつかのコツがあります。
脂肪は、タンパク質とともにあらゆる細胞やホルモンなどの原材料になります。もうひとつの脂肪の働きはエネルギー源としての働きです。それら肉体の原材料とエネルギー源として使われた余りの脂肪は、保存用エネルギー源として中性脂肪として蓄えられます。そのように脂肪をためこんだ状態がすなわち肥満ということになります。
特に動物性脂肪は、不飽和脂肪酸を多く含むので最小限にします。それには脂身の肉は避けることと、料理法も近頃流行のスチームオーブンを活用すると、大幅に動物性脂肪をカットすることができます。
タンパク質は、身体をつくる原料です。ごく僅かを除くと、摂取したタンパク質は肉体の原料として利用される以外、よぶんなタンパク質が体内に蓄積されることはありません。つまりタンパク質はとりすぎても太らないのです。肉体の原料として必要なだけ、特に必須アミノ酸は摂取しなければなりません。
炭水化物は、消化酵素の働きで糖分に変わりエネルギー源になります。余った炭水化物は、脂肪酸に変換され皮下や内蔵にたまってゆきます。つまり炭水化物の摂りすぎは肥満の原因になるのです。
同じ炭水化物でも、食品の種類で血糖値の上がり方が違います。その血糖値の上がり方を数値化したものがグリセミック指数といいます。ブドウ糖のグリセミック指数を100として、たとえばバナナは50~60くらいです。炭水化物のとりかたではグリセミック指数の低いものを食べることがダイエットに役立ちます。
以上食物原料の三大栄養素以外に問題となるのが、調味料に含まれる糖分、塩分、油分です。ファストフードでもそうですが、食事の欧米化、インスタント食品や既製品の食べ物は、売らんがためや保存性、冷凍臭をごまかすためなどからどうしても濃い味付けとなります。
ベジタリアンの食事は、それらの意味からとても優れた食事と言え、妊婦食としても推奨できるものです。ただ純粋に植物食とするためには、タンパク質や微量ビタミン類の摂取に工夫がいります。ベジタリアン食を中心として、動物性食品をくわえたものが妊婦食にも他の人々にも理想的な食事といえます。
甘いケーキやアイスクリームは原則バツ。たまに気分転換として少し摂る程度です。
果物は、かなり低カロリーの糖尿病食メニューでも必ず含まれているように、ビタミン源などとして重要な要素です。ただ果物はよいと言っても大量に食べるとカロリーオーバーとなります。
薄味に慣れるためには、お腹が空いたところでまずご飯だけをおかずなしで口にいれ何回もよく噛みます。すると米の甘味、旨みが口中に広がりご飯ってこんなにも美味しかったかな、日本人でよかったという気分になれます。先にご飯だけをこうして食べ後でおかずだけ食べるといかに普段食べていたおかずが濃い味付けだったかと気づくことができます。

運動

 運動は妊婦さんでは調子の悪い時など、あまり激しいものではないほうがお勧めです。いちばん簡単で妊娠子宮の負担にもならないのは、少し早足で歩くことです。毎日30分以上ちょっと汗ばむくらいのスピードで歩くと150Kcal消費します。できれば一時間歩けば節食で得た成果を維持しリバウンドを防ぐことに役立ちます。また「チャレンジング・デリバリー」に備えて体力をつける意味で推奨されます。
そうして積極的な姿勢で自分の力で新しい家族を迎える準備をととのえるのです。
ハンバーガーやポテトチップスばかり食べTVを見ては昼寝をする、と言った生活を繰り返していては「チャレンジング・デリバリー」は望めず、ご自身が肥満、メタボ、動脈硬化の道を歩むだけでなく、生まれてきた子も同じ道を歩むことになることに気付かねばなりません。家庭の主婦が正しい食習慣を身につけると、家族みんなの将来の健康に役立つのです。

病気は一代、メタボは二代

 ガンになりやすい体質などは、次の世代に引き継がれることはあるかもしれませんが、どのような難病でも、母親の病気が直接に子供さんの肉体をむしばむということはありません。
しかし妊婦さんのメタボは、将来の妊婦さんの健康に脅威をもたらすのみならず、家族の食習慣に悪い影響を与え、大切な赤ちゃんの肥満、メタボへと引き継がれて行きます。外来でも肥満妊婦さん、ご主人、一緒に来院の子供さんも、みんな肥満というメタボ一家がよくみられます。肥満は伝染病です。しかも家族代々受け継がれて次の世代の健康をむしばむたいへん困った病気です。

妊娠中は適度な運動を

 特別な合併症が無い限り、妊婦さんは充分に軽い運動を心がけましょう。「チャレンジング・デリバリー」には最小限の体力が必要です。よほど慣れていない限り、球技などスポーツと呼ばれるものは妊娠中は避けるのが原則ですが、食っては寝、起きてはTV、といった生活はお産だけでなく、かならず後の人生で二倍返しを受けることになります。水泳やウオーキングはもっとも手軽で安全な運動療法です。毎日30分以上の軽く汗ばむくらいのウオーキングで150キロカロリー程度の消費となり、肥満防止と体力の維持に役立ちます。軽作業など日常の仕事も続けることがよいのです。

「チャレンジング・デリバリー」の実現に向けて

 わたくしたちは自然分娩で安全に生まれるお産が理想のお産であると考えます。
過度の医学的介入なしで妊婦さん自身の力で新しい命を生み出すことは誰にでもできます。
「チャレンジング・デリバリー」とは、実は分娩室以前の妊娠期間を通しての適切な食事と運動の成果であります。新しい家族をみんなで迎えるには、あらかじめ妊娠中からのご主人や子供さんも共に参加してのイメージ作りが大切なのです。
妊娠中からのただしい栄養摂取、体力アップ、肥満の防止、妊娠高血圧など合併症の予防で安産の基礎がつくられます。妊婦検診時には、ご家族もいっしょに来院されてエコーで見られる赤ちゃんのイメージを頭に焼き付けていただくことをおすすめします。分娩スタイルは「マイ・バースプラン」を組み立てていく段階で想像力を働かせ、だんだんと細かいところまでご夫婦で決めていってください。そしてそのプランに従ってご家族みんなで「共に産む」、それが「チャレンジング・デリバリー」です。基本的には充分な準備ができていれば、自然で快適なお産ができます。
添付されているバースプランは、ぜひご家族でお話ししながら書いてみてください。
家族みんなで「チャレンジング・デリバリー」で新しい家族を迎え明るい家庭を築くことは幸せな一家の未来を約束するものです。
わたくしたちは一同みなさんのこのような元気な赤ちゃんの誕生に立ち会えることを誇りに思っています。

産科医療功労者
厚生労働大臣表彰

わたくしたちは自然分娩で安全に生まれるお産が理想のお産であると考えます。
過度の医学的介入なしで妊婦さん自身の力で新しい命を生み出すことは誰にでもできます。
「チャレンジング・デリバリー」とは、実は分娩室以前の妊娠期間を通しての適切な食事と運動の成果であります。
新しい家族をみんなで迎えるには、あらかじめ妊娠中からのご主人や子供さんも共に参加してのイメージ作りが大切なのです。
妊娠中からのただしい栄養摂取、体力アップ、肥満の防止、妊娠高血圧など合併症の予防で安産の基礎がつくられます。妊婦検診時には、ご家族もいっしょに来院されてエコーで見られる赤ちゃんのイメージを頭に焼き付けていただくことをおすすめします。分娩スタイルは「マイ・バースプラン」を組み立てていく段階で想像力を働かせ、だんだんと細かいところまでご夫婦で決めていってください。そしてそのプランに従ってご家族みんなで「共に産む」、それが「チャレンジング・デリバリー」です。基本的には充分な準備ができていれば、自然で快適なお産ができます。
添付されているバースプランは、ぜひご家族でお話ししながら書いてみてください。
家族みんなで「チャレンジング・デリバリー」で新しい家族を迎え明るい家庭を築くことは幸せな一家の未来を約束するものです。
わたくしたちは一同みなさんのこのような元気な赤ちゃんの誕生に立ち会えることを誇りに思っています。

中国新聞記事
「明日へつなぐ」より

平成21年2月4日の中国新聞「明日へつなぐ 第1部 地域医療の現場から 医師編2」において、庄司院長が紹介されました。今もなお院長の意志は当時とかわりません。多くの方にこの記事をお読みいただきたく、ここに転載いたしました。
明日へつなぐ 第1部 地域医療の現場から 医師編②
細る産科 引退できぬ
岩国病院 命の誕生を励みに

早朝から続く外来の波がようやく途絶えた。診察室の時計を見ると、午後二時少し前。昼からは分娩、その後は入院患者の診察…。白髪を束ねた頭の片隅で、素早く予定を整理する。「今のうちに昼飯をとるか」。院内給食をかき込んで、何とか二時には再開できるな──。
産婦人科と小児科のほか、内科や整形外科も掲げる岩国市の岩国病院。七十三歳になる庄司孝院長は、唯一の常勤の産科医でもある。五十年近い経験の中で、産科を取り巻く異変を実感する。「少子化が進んでいるのに昔より忙しい。産科医が減り、妊婦さんが数少なくなった病院に集中しているんです」

診察は週6日

 昨夏も、市内の産婦人科が分娩をやめた。「年齢的に僕もいつまでやれるか…」。地域の将来像は見えない。
市内の出産できる病院・診療所は現在、三カ所。十年前の三分の一に減った。うち二カ所を自分たち開業医が支える現状。「精いっぱいやるしかない。今を切り抜けたら道が開けるはず」。自らにそう言い聞かせる。
若い医師が年々、産科医を志望しなくなった。「実際、3K職場ですから」と庄司院長。同年代の医師が次々と引退する中、自身は週六日、一日平均七十人の患者を診察。二十四時間体制でお産に備える。
パート勤務医らの応援も得て何とか維持しているのが実情。「働きづめの上に、医療訴訟のリスクも高い。若い人が敬遠しても仕方がないでしょう」

志す人は多い

 それでも、と思う。「新しい命の誕生に立ち会うのは、大きな生きがいです」。年間三百人以上の新生児を取り上げてきた。
かつての赤ちゃんが妊婦となり、再びこの病院で出産することもしばしば。「孫娘がお産するようなもん」。笑顔はおじいちゃんのようだ。
病院で生まれた子どもや母親を招き九年前、市内のホテルでクリスマス会を開いた。赤ちゃんから妊婦まで約六百人が集った。「彼女らのためにも頑張ろう」。決意が今も続いている。
「実は研修医で産科を志す人は多いんです」。庄司院長は指摘する。「彼らを引き留めるため、僕ができることは一つ。仕事の魅力を伝え、後輩たちを勇気づけることなんですね」(和多正憲)

【産科医不足】
全国で産科医が不足し、分娩できる医療施設が減り続けている。県健康福祉部によると、二〇〇六年末時点で、県内の産科医は百十五人。一九九六年の百四十八人から、22.3%減となっている。分娩施設数所とも今月一月現在、病院と診療所を合わせて四十力所と減少傾向が続く。
現場を支える開業医の高齢化も深刻だ。過去五年間で、県内で新規開業した産科は三カ所。若い医師の産科離れが深刻化している。