野菜が足りない日本人
2025.12.09「日本人は野菜が足りない!!」と警鐘を鳴らす東京慈恵会医科大学名誉教授の宇都宮一典先生の論文を見つけましたのでご紹介しましょう。
野菜と果物をたくさん食べることが、心血管疾患、脳卒中、がんなどによる死亡率の低下をもたらすことは、いろいろな調査で明らかになっています。その理由の一つとして考えられているのが、食物繊維だそうです。この食物繊維の作用についての理解が深まったのは最近のことで、コレステロールの吸収や食後高血糖を抑えたりなど、特に糖尿病の治療には重要な役割を果たしているのだそうです。実際に、糖尿病では食物繊維の摂取量が増えると、総死亡率、心血管疾患による死亡率が低下し、HbA1cと体重の低減にも役立っていることわかっています。
そんな大事な野菜ですが、この10年間で日本人の野菜摂取量がどんどん減っているのだそうです。厚生労働省は野菜の一日の摂取目標を350gとしていますが、令和5年度の国民・健康栄養調査によれば、なんと日本人の平均値は目標よりも100g近くも低い256gでした。年齢別にみると、男女ともに20歳代で最も少なく、年齢が高くなるほど多くなっていましたが、どの世代でも目標値に達していたのは20〜30%に過ぎなかったそうです。
原因としてあげられているのが食スタイルの変化です。和食で典型的な主食・主菜・副菜という組合せの食事を取る人が少なくなってきていて、20〜30歳台ではわずか20〜30%しかいないそうです。カップ麺だけとか、ファストフードだけとか、心当たりがある人もいるのでは? こういう食スタイルの人には肥満も多く、生活習慣病を抱えていることが多いのです。これは日本に限ったことでは無く、世界各国で見られる傾向だとのこと。
宇都宮先生は論文の最後をこんな一文で締めくくっています。
「食は文化であり、民族の日常生活の中で、永く淘汰されてきた歴史的結晶であることをみれば、伝統的な和食の食パターンは国民の健康維持・向上を図る上で、基準となるものと考えてよい」
これを機に、和食を見直してみませんか。
(参考文献:『多様化する糖尿病の食事療法と野菜』食と医療第35号・講談社)