お魚と大動脈疾患のびっくりする関係

2024.10.21

 先日、「魚をほとんど食べていない人は大動脈疾患死亡リスクが増加する」というストレートなタイトルの論文を見つけてビックリしました。順天堂大学教授の山岸良匡先生が書かれたものです。

 日本では大動脈疾患で亡くなる方が欧米にくらべて少なく、その理由は食生活、とくに魚を多く食べることにあるのではないかと考えられていたのですが、それを裏づける調査がこれまでありませんでした。そのため、大規模な調査が望まれていたのですが、およそ36万人という大集団を対象に、魚の摂取頻度と大動脈疾患死亡との関連をが山岸先生たちが初めて調べたというのです。その結果はとても驚くべきもの。月1~2回以上魚を食べる人よりも、まったく魚を食べない人のほうが、大動脈疾患の死亡リスクが2倍近く高いというものだったからです。

 また、大動脈解離だけに絞ると、月に1~2回以上魚を食べる人に対して、ほとんど食べない人の死亡リスクは2.5倍近くにもなっていました。

 この調査は死亡リスクと魚摂取の関係を調べるものですので、なぜ魚を食べるとリスクが下がるか、その原因までは報告されていません。また、欧米で同じような調査をしてみないことには、確定的なこととして断言はできませんが、とはいえ、魚を食べることの大切さを教えてくれる研究であることは確かです。さて、今夜のおかずはお刺身かな、それとも煮付けにしようかな。

広報委員会(参考文献:『食と医療』vol.30 講談社)